街のど真中に遊園地がある!と期待して行くと悲しい気持ちにさせられる街の話(でもそこから西側に入るとお洒落なレストランがいくつかあるよ)


140文字に一瞬を託すミニブログサービスにのめり込んでいるからと言って物事を端的に表現するスキルが上がっているかというと存外そんなことはなくて、むしろ文章を練る力が衰えてしまった感さえある今のおれがブログを放置していた間に何をやっていたかということを書こうとするとそれだけで壮大なノンフィクション長編小説が書けてしまうだろうね。だから割愛する。そもそもおれが日々何を考えて過ごしているか、夕食の時に飲んだワインは赤か白か、年度末のフットボールカップ戦でおれがどんなプレーを披露したかなんてことまで気になる人はそういないだろうし、もしもそんなにおれのことを熱心に気にかける人がいたら一言「アイラブユー」と伝えてくれればそれに対して丁寧にお答えすることに吝かではないよ。それが嫌ならおれのTwitterの過去ログでも漁ればいい。なんにせよ、昔からweblogを続けている者としては「更新が滞るのはコンピュータに触るヒマもないほど生活が充実しているからだ」という真理を知っているので今回もポジティブに捉えようじゃないか。ちなみに昨日は白ワインを飲んで、年度末のカップ戦は散々な結果だった。


weblogに記事として書いておきたいなあと思うネタは少なからずあったのだが、それらはいつ来るか分からない次回に置いておこう。今回は住み慣れた、そしてもうすぐ離れなくてはいけない我が親愛なる第二の故郷、神戸の街についてつらつらと。



大九州拉麺帝国帝都・博多で生まれ育ったおれは神様のお導きによって何故か神戸にある六甲イノシシ大学に進学した。初めての一人暮らし、周りは癇に障るイントネーションで喋るカンサイジンという異人種ばかりでアウェーにも程があるという風ではあったが、いやはや住めば都とはよく言ったものだ。今では立派に"BOKE TO TSUKKOMI"という礼儀作法を完璧に近い形で出来るようになった。神戸を拠点に大阪・京都にも足しげく通い、大阪人は「もうかりまっか」なんて言わないこと、京都人はぶぶ漬けなんて出してくれないこともおれは学んだよ。これでおれも立派な関西人だな、とおれが感慨深げに言うと、しかし友人達は痛烈なツッコミを返してくれたが。


神戸は良い街だ。おれがそう思う理由はいくつかあるが、それを説明するのは簡単じゃない。例えば友人が神戸に遊びに来て、案内してくれ、と頼まれた時におれは大変困った。何しろ観光名所というか、そういったものがあまりない。中華街なんて横浜のそれに比べればミニチュアだし、若い人を北野の異人館に連れて行ってもあまりエキサイトしない。神戸タワー?悪くない選択かもしれないけど、何もタワーがあるのは神戸だけではないしね…


神戸の良さっていうのはだから、ちょっと遊びに来て分かる類いのものではないと思う。この街には住んで初めて分かる良さがあるし、むしろ住みやすいのが神戸の良さだと今では思っている。街は綺麗だし、繁華街もコンパクトで人混みもそう酷くはない。美味しいレストランも多いし、パンやお菓子に関しては全国的にもレベルが高いと思う。街の人達はお洒落に敏感だし、センスのいいお店が年々増えていってる。それでも神戸じゃ物足りない?千円握れば大阪はもとより京都にも行けるから問題はないね。他にも沢山あるが、基本的に神戸の人は親切だ…あなたが阪神ファンである限りは。タイガースを応援していると一言告げるだけで、彼らは驚くほど態度を変えるんだぜ(一杯奢ってもらえるかもしれない)!


だからこれを読んでいるあなたが、神戸に行くことがあったら、もしくは神戸に住むようなことがあったら、何も心配することはない。なんだったら、三宮のPINOCCIOというイタリアンに行くか、岡本のCasablanca Francaisというフレンチに行くといい。どちらも愛すべき頭のイカれた人々がやってる美味しいレストランだ。東京に行ったクドくてテンションの高いサッカー馬鹿に教えてもらった、と店の人に言えば何かサービスしてくれるかもしれないよ。


神戸で過ごした四年間の日々は本当に楽しかった。捻くれたおれにもそう思わせるだけの魅力がこの街にはある—この街を語るにはそれで充分だろう?おれはこれから首都に住むことになるけど、きっとうまくやれる…うまくやれなかったとしても大丈夫だ。生まれ故郷の他に、もう一つホームグラウンドが出来たんだから。帰る場所があるということは人を勇気づけてくれるね。


神戸でお世話になった、そしてお世話してやったクソ野郎共へ、最大級の感謝を。
ちょっと東京行ってきます。